cource map 5-1. 三国峠を越えて然別湖へ



1992-8-11 (火) はれのちくもり [最高 23 度・最低 14 度]

層雲峡の診療所で化膿止めの内服薬と医師の紹介状 (やけどした時の状況、処方について書いてある) をもらったのでこれを頼りに旅を続けます。しかし、毎日一度は患部を覆っているガーゼをかえてもらわなければなりません。

銀泉台に向かう道と同じです。なるべく足の甲をこすらないようにペダルを踏みますが、まだ慣れていないのでときどき刃物で切りつけられるような痛みがあります。そのたびに「うぎゃ〜」「クヌヤロ〜」などと叫んでしまいます。

銀泉台へのダート道を分け、大雪湖の湖畔を進みます。湖の水面には先日の台風のためか、まだ緑の葉をあおあおとさせた全長 20 m ほどの大木が何本もプカプカ浮いています。

大雪湖をすぎ、右側を見ると大雪の山がきれいです。明るい緑の山肌に大きな雪渓が白く映えています。だんだんと前方右側に石狩岳 (?) が大きくなってきます。目の前の緑と白のコントラストは関東の感覚では山深い初夏の雰囲気がします。ふと気がつくと道路の脇に生えているなにかの木から綿毛がとんできて私の周囲にプワプワと浮いています。たくさんの綿毛が逆光に照らされてきらきらと光ると、なぜか夏の盛りが過ぎているような感じがします。かと思うとすきとおった青い空には秋のスジ雲がスーッとのびていたりします。北海道の短い夏はいろいろな季節の美しい断片がごっちゃになっているから楽しいのかもしれません。

すでに三国峠に通じる登り坂をのぼり始めてからずいぶんたちました。8 年前に 50 Km はあると聞いたダートはまだかと思うころには道路の工事現場につき、砂利道が始まりました。しかし、このダートは峠のトンネルまで 1 Km ぐらいしかありません。ほこりっぽくて狭い三国トンネルをぬけると 糠平方面の大展望 です。深く濃い緑の森に埋め尽くされた大地に細く伸びた 1 本の道をながめると、「ずいぶん山奥にきたなぁ」と思います。

三国峠直下の橋で。ふり返ると青空がまぶしい。
青空と橋 三国峠の先では、大きな新しい橋の上からの眺めがすばらしい。緑の大雪をときどき振り返りながら下ります。砂利は深いです。15 cm はかるくもぐってしまいます。フロントにはサイドバックなどで 10 Kg は載っているはずですが、ハンドルはあっちをむいたりこっちをむいたり。それでもなぜかまっすぐに進んでいるのが不思議です。要するに、ハンドルがとられているんですね。フロントのタイヤが右に左に流れるたびにピリピリに緊張し、腕がリキみます。

このひどい深砂利のなかを上ってくるランドナーが 2 台います。帯広から上ることを考えるとやはり層雲峡側からはラクショーだったのねと実感します。と同時にこういう深砂利のサイテー道路こそブロックタイヤのマウンテンが走るべきところなのではないか?とも思うのでした。

さて、糠平 (ぬかびら)までだらだらとくだります。途中、◯×温泉 1 Km とかニペソツ山登山口とかいう看板が出たりしますがこのやけどの足ではううむ、なのでそのままパスしてしまうところが悲しいです。

糠平湖畔には鉄道の廃線あとが見えます。周囲はひたすらトドマツのくら〜い森です。

糠平の田舎風定食屋で親子丼を食べてから糠平診療所でガーゼを替えてもらいます。さぁて、あとは然別湖 (しかりべつ-こ) に下るだけだと思っていたらものすごい上りでした。よ〜く地図を見ると、あと 500 m は上らなければなりません。だはは。地図をよく見ていなかった私が悪かった。休みやすみ、コーナーにだまされたりスキー場のリフトの横を通ったりして狭い道を幌鹿峠 (ほろしか-とうげ) まで登ります。ちなみにこの道は北海道にはめずらしく斜度があり、タイトターンが多いせいか、かっとびオートバイがたくさん走っています。コーナーでは注意が必要です。

幌鹿峠はしずかなトドマツの中にある

幌鹿峠 ツーリングマップ (*1) には幌鹿峠からの眺めがよいとありますが、登る途中でやや展望があった以外、ながめはよくありません。峠はしずかなトドマツ林の中でした。

峠からの下りは道が広くなり快調です。登ったわりにはあまりおりていないのに平らになったなと思うころ、然別湖につきます。こんどは道の両側に白樺の森が続きます。下生えのクマザサが豊富で、明るい感じのする美しくボリュームがある森です。きれいだなーと思っていると「白樺原生林」を示す看板がたっていました。

山田温泉というのがありますが、やはりカナシク通過して、すぐに然別湖キャンプ場です。夏休みの真っただ中のせいか、キャンプ場はファミリーが多いです。たしかにキャンプ場には人が多いですが、敷地が広いので混雑は感じません。トドマツの大木がたくさんあり、自然の奥深さを感じさせます。

トムラウシ温泉に十勝ダムで1泊していってきたというランドナーの人に会いました。トムラウシへの道は最後の 10 Km をのぞいてすべて舗装されたそうです。その奥の沼原 (ヌプントムラウシ) 温泉への道は台風で荒れたそうです。

シマフクロウ

シマフクロウはおさかなをたべます

近くの東雲湖 (しののめこ) にはナキウサギがいるとか、このキャンプ場が面している然別湖にはシマフクロウが住んでいるとかいうことをアルバイトの管理人から聞きます。実際、この夜、キャンプ場のトドマツの木の枝にシマフクロウがきて「ボー、ボー」(*2) と鳴いていたのですが、これがうるさいほどの大声でした。体長 70 cm 、羽を広げると 2 m という大型のフクロウのせいでしょうか、湖の反対側にも聞こえるんじゃないかと思うほどの大声です。

夜の 12 時ごろでしたが、シマフクロウの声で起こされたキャンパーがテントのファスナーをジーッジーッとあける音が聞こえました。よく聞くと、「ボー、ボー」と鳴く間に「パタパタパタ ... 」と地面から飛び上がる音もかすかに聞こえます。あとで本で調べたのですが、シマフクロウは狩りの最中は狩りに集中してしまい、ほかのことがわからなくなるそうなので、こういう時は観察にいいかもしれません。こうして私たちのテントの上をしばらくうろついてシマフクロウの声は闇のなかに消えていきました。



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