3-2. 花の富良野岳から層雲峡へ


1992-8-3 (月) くもり


十勝岳温泉まで自転車であがり、そこから歩いて登り始めます。登山道の途中に安政火口という活動中の噴火口があるそうですが、霧で何も見えません。タカネナナカマドが白い花をつけ、ぼんやりと朝露のなかにうかんでいます。

イワヒゲ

Iwahige
今日はまるで展望はなし。霧ばかりです。しかし、足元の斜面には花がいちめんに咲いています。チングルマや××ツガザクラ (*1) がほぼびっしりと咲いています。さらに霧のなかだと白や黄色の花が霧の中に浮いているように見えてなんだか幻想的です。ヨツバシオガマの穂のような濃い紫の花は薄暗く霧の中にうかびあがっていますが、シナノキンバイは暗くても元気よく黄色い花を開いています。イワヒゲは「ワシ関係ないもんね」というふうに淡々と風にゆれています。イワギキョウの上品な紫の花を長い間見ているとすっかり秋になったような気分がしてきます。

斜面ではエゾノツガザクラやアオノツガザクラの群落がひとかかえほどもある大きな岩の上にのしかかるようにして広がり、勢力をのばしています。だれかが花のじゅうたんを岩の上にかぶせてやったのではないかと思うほどで、草のかたまりが岩の上からこぼれそうになっています。私が今歩いている富良野岳の頂上に向かう尾根はゆるやかに細く続き、登山道の両側の斜面は小さい命でいっぱいです。

天候不順のためトランプに興じる獨協大学ワンゲル部
tramp 上ホロカメットク (カミホロ) の避難小屋に寄ってみます。2 階だてのがっしりした小屋で、40 〜 50 人はとまれるでしょうか。小屋の中ではおととい会った独協大のワンゲル部員が前日に登ってきていて、小屋の中でトランプをしています。聞けば朝の 8 時から時間つぶしのためにやっているとか。横で私がお昼を食べる間にナポレオン、ババヌキ、オイチョカブ ... とトランプを続けています。そのオイチョカブでは自分たちワンゲル部員のおやつ (行動食) を賭けていました。

敗者:センパイ!! そのゼリー、お願いですからまだ食べないでくださいね〜っっ !!
勝者:だ〜め
敗者:あ〜、オレのソーセージぃ〜っ
勝者:...

山の上ではおやつがなくなったら補充のあてはありません。ましてやあと一週間ちかくも山の上で生活しなければならない彼らワンゲル部員はやってはいけない禁断のゲヱムをしているのでは ... 。などと私は横目で見ながら紅茶をズズッとすする小屋の昼下がりなのでした。

独協大のワンゲル部員がテントを張っているところは大きな雪渓の末端にあたるところです。上を見上げると長い雪渓が霧の中に続いていて、上部が見えません。しかし、見える範囲だけでも 50 〜 60 m はありそうです。日が照ってザラメ状になった雪渓でカカトスキーをしようと思ったのですが、表面はカキンカキンに凍って (*2) いました。ここ数日の寒さがわかります。

安政火口

霧の中、外を歩きまわっている別のワンゲル部員たち 5 人にカミホロまでつきあってもらいます。彼らは小屋の中のトランプ組とは違い、自分たちのことを精鋭メンバーと呼んでいます。私が前にいた会社の上司によく似たワンゲル部長によれば、さらにテントの中でまだ寝ている脱落組が約 2 名いるそうです (笑)。霧で展望はないけれどここだけはなぜか生暖かいというカミホロ山頂で雑談をしていると、ウスラ寒いのになぜか半ソデ半ズボンのかっこうで登ってきた元気な白人に会いました (あとで再会)。独協大ワンゲル精鋭部隊と別れカミホロをあとにしますが、富良野岳のお花畑にくらべると富良野岳以外では花はそれほどではありません。下山途中、霧が少し上にあがって安政火口が見えました。いまもモウモウと白い煙をあげています。

十勝岳温泉は展望がいいそうですが、今日はまるでだめです。お湯自体は泥水のようなお湯だそうです。お金を忘れたのでまた入りそびれてしまいました。十勝岳温泉から自転車で白銀荘キャンプ場におりる途中、傾斜が急なヘアピンカーブ (十勝岳温泉から数えて第 4 コーナー) で元気よくマシンを傾けてコーナーを抜けたところ、リヤのスポークが「ピキーン !」と音をたてて切れてしまいました。やはり雨竜沼に行くときの傷がヤバかったか〜。ということで明日はスポーク修理のため旭川に直行します。





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